看護の仕事はブラック?

今、「ブラック企業」というものが話題になっています。ブラック企業とは、労働者をなるべく安く使い倒す事ばかり考えている企業のことで、長時間労働や低賃金、サービス残業などが問題になっています。就職活動をしている学生も自分が希望する会社が「ブラック」でないかを気にしているほどです。

ところで、よく「ブラック企業」と言われる職場の特徴としては次のようなものがあります。

・業務内容や労働条件で明らかな法律違反がある
・サービス残業や休日出勤(強制参加の会社行事も含む)が多い
・賃金が業務に見合わないほど低い
・実利益の伴わない精神的な題目(「やりがい」や「奉仕の精神」など)ばかり強調する
・残業代を伴わない長時間労働
・恣意的な人事異動や社内ルールがまかり通っている
・社内の人間関係が悪く、いじめやパワハラが横行している

いずれも、会社の経営者など一部の人間だけに利益が行くことばかりを考え、末端の従業員の待遇を軽視するものと言えます。いわば、人材はあくまで「使い捨て」であり、こういった会社では離職率も高く、常に人材が入れ代わっている状態です。そのため、ハローワークなどの求人情報にいつも募集が掲載されていることも一つの特徴となっています。

この「ブラック企業」は飲食業、営業職、肉体労働など特別な技術を持たなくても誰でもできるような仕事に多いものでした。しかし、現在では需要の多さからIT関係(SEやプログラマーなど)や介護関係、看護職にも目立つようになってきています。実際、最近では看護業界や病院においても「ブラック」という言葉を聞くようになっています。

その「ブラックな病院」でも、一般的な「ブラック企業」と同様の問題が指摘されています。それは器具の使用方法や処理に関する明らかな法律違反もあれば長時間労働やサービス残業といった労働環境の問題もあります。さらにパワハラやいじめ、それに伴った適応障害やうつ病など職員一人一人の健康に関わる問題まで様々です。

看護師の離職率は2011年度の数値では常勤が10.9%、新卒が7.5%(日本看護協会の発表による)となっていて、見かけ上はそれほど高いようには思えません。しかし、実際の現場の声を聞くと、特に都市部では「次々と職員が辞めていく」「春に入った新人が半年後にはほとんどいない」などと人手不足や離職者の多さを嘆くものが多く、単純に数字だけを見て現状を判断できるものではないようです。

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