病気の家族を抱えた一般の家族が在宅看護をする場合、訪問看護を利用して看護のノウハウを教えてもらうことが看護技術を身につける上で最も適当な方法です。 家族が看護の技術を身につけるには市役所の福祉課や病院などの医療施設を訪ねてもいいのですが、訪問看護師は患者だけでなくその家族に対しても支援を行います。看護師に知恵を借りることで看護に使う道具の活用法から生活支援のコツなど、その家庭それぞれで最適な看護技術を身につけることができます。確かに、病院でも看護の方法を教えてもらうことはできますが、病院と家庭の環境は違います。やはり病院は医療専用の設備が整った特殊な環境なので病院では使えても普通の家庭では使いにくい方法もあります。例えば、病院には専用の点滴台がありますが、一般の家庭には点滴台はまずありません。そこで市販のフックなどを利用して代用品を作る工夫も必要になってきます。
訪問看護では各家庭ごとの状況に合わせた看護を行います。単なる生活介助ではなく在宅医療のプロとしてアドバイスしてくれるので患者の家族にとっても大きな助けになります。訪問看護師は先程の例のように各家庭に合わせて行う看護技術のノウハウを持っています。患者の髪を洗うにしてもビニールシートやバスタオルなどの日用品を使って洗髪できるようなテクニックが学べます。他にも、着替えや排泄、食事、歯磨きの方法や、シーツの交換、ベッドから車椅子への移動を楽にできる方法などを知っているので積極的に技術を教えてもらってください。その気になれば、患者の排泄がうまくいかないときに排泄を促す方法や浣腸、摘便といったことまで直接学ぶこともできます。看護のプロに教わりながら自分でできることは自分で対応するようにしていけば自ずと家庭での看護技術が身についくるものです。
自分が住み慣れた場所で過ごせるために患者にとっても在宅看護にはメリットがあります。しかし、急に容態が変わった場合には対応しにくいという欠点もあります。普段、患者の世話を訪問看護やヘルパーに任せきりで見ているだけはいざという時に自分で対応することができません。そのために家族がある程度の看護技術を身につけておけば急変時にも対応が速やかにできます。安定した療養生活が送れるようにするために訪問看護師と家族が協力して患者を支援していく必要があります。
現在、訪問看護や家庭看護のニーズはますます高まっていて、厚生労働省は終末期看護や重症の患者にも対応できる機能強化型の訪問看護ステーションを作る計画を固めています。これからは患者を抱える一般の家庭にとって訪問看護ステーションは病院と同じくらい身近になり、町のナースステーションとも言える立場になりそうです。しかし、実際に訪問看護を担っている看護師は50~60代の世代が多く、若手看護師の人手不足が問題になっています。特に島など孤立した地域では、高齢化も重なり人材不足の傾向がより深刻になっています。高齢者の比率が増えれば増えるほど、長崎でも看護師の求人が増加しているのです。地方の格差もひどく、訪問看護師が持っている医療技術が最新のものではなく、新しい医療機器に対応しづらいなど訪問看護をめぐる課題が山積しています。
人に重宝される訪問看護師として働きたいのであれば、高齢弱者の存在が問題となっている孤島で活躍することをおすすめします。日本一孤島が多いといわれているのは長崎県。島での看護を考えているのであれば、長崎へ足を伸ばすことを考えてみてもいいでしょう。